◇平成30年6月21(木)加齢研セミナーのご案内
日時: 平成30年6月21日(木)午後6時30分~午後7時30分
場所: 加齢研スマート・エイジング研究棟1階 国際会議室
演題: 高齢者医療の将来展望を考える
講師: 荒井 秀典
所属: 国立長寿医療研究センター 病院長
担当: 堀内 久徳(所属 基礎加齢研究分野・内線8463)
要旨: 高齢者の健康問題を考える時には疾患のみならず、心身機能の衰えを視野に入れる必要がある。高齢者は多臓器に疾患を持ち、老年症候群や生活機能障害を有することが多いため、総合的、包括的な医療が要求され、薬物療法には特別な配慮が必要となる。また、急性期をはじめ、亜急性期、慢性期の医療と介護をどのように進めるか、という視点も重要である。原因を究明して根本的治療を施し、病気の治癒を目指すという従来型の医療モデルを身体の老化に社会的、心理的問題が絡み合って構成される複雑な病態を抱える高齢者にそのまま適用することは困難であり、高齢者医療には新しいパラダイムが必要である。
加齢に伴い、体力や気力の低下という問題に直面する高齢者が多くなる。これらの問題の重要性は、75歳以後の要介護の原因が、加齢に伴う衰弱など疾患概念では捉えにくい問題が主因となってくることからも明らかである。日本老年医学会は、加齢に伴う衰えを「フレイル」と表現することを提唱し、その積極的な予防対策により自立障害に至る過程を遅らせる重要性を説いている。フレイルは高齢者の健康評価には不可欠な視点になっており、その予防対策は、バランスの良い栄養摂取と運動習慣の確立というライフスタイルに関わる改善が主体である。栄養では、従来よりも積極的なたんぱく質摂取が推奨されるようになっている。運動では、筋肉の衰えを改善しうるレジスタンス運動が推奨されるが、フレイル高齢者にとっては、歩行を含めた運動習慣の獲得が重要と思われる。
本講演においては高齢者医療の方向性を確認し、フレイル、サルコペニアといった最近老年医学の分野で注目されている病態を中心に話をしたい。

開催案内ポスター