◇平成29年12月13日(水)加齢研セミナーのご案内
日時: 平成29年12月13日(水)午後5時~6時
場所: 加齢研実験研究棟7階 セミナー室1
演題: 家族性血球貪食性リンパ組織球症3型(FHL3)の包括的解析系の確立
講師: 八角 高裕
所属: 京都大学大学院 医学研究科
担当: 堀内 久徳(所属 基礎加齢研究分野・内線8463)
要旨: 血球貪食性リンパ組織球症(HLH:hemophagocytic lymphohistiocytosis)は、汎血球減少や多臓器障害を主要徴候とし、マクロファージによる血球貪食像を組織学的特徴とする致死的な炎症症候群である。過剰な炎症性サイトカイン産生を共通病態とし、遺伝的素因による原発性HLHと、膠原病や感染症に続発する二次性HLHに大別される。原因に関わらず、HLHの治療には強力な免疫抑制が必要であるが、多くの二次性症例が一過性に収束するのに対し、原発性症例には例外なく造血幹細胞移植が必要となるため、迅速且つ正確な診断が求められる。
家族性血球貪食性リンパ組織球症(FHL:familial HLH)は原発性HLHの代表疾患であり、これまで判明しているFHLの原因は全て細胞傷害性T細胞(CTL:cytotoxic T lymphocyte)や NK(natural killer)細胞の細胞傷害機構に関与する分子である。我々は患者プライマリー細胞を用いた迅速診断法の確立に取り組み、特にFHL3型患者の迅速診断法確立に成果を挙げてきた。又、FHL責任遺伝子バリアントに対する機能解析系の確立に取り組み、FHL3型患者から疾患モデルCTL細胞株を樹立することに成功した。この系を用いて様々な既報告の病原性遺伝子バリアントの機能を評価したところ、FHL3型責任遺伝子バリアントの病原性はその蛋白の発現レベルと強く相関することが確認されている。多くの症例解析を通じて見えてきた病態考察や、今後の展開についても言及したい。