Screenshot (100)

加齢医学研究所の前進である抗酸菌病研究所は、結核とハンセン病の克服を目的として昭和16年に創立されました。初代所長は当時の東北帝国大学第7代総長であった熊谷岱藏です。熊谷岱藏は、膵ホルモン・インスリンの発見と結核医学研究で昭和27年に文化勲章を受章し、2代所長である海老名敏明は結核医学研究で昭和31年に朝日賞,昭和35年にコッホ賞を受賞しています。さらに、今野淳のヒト型結核菌同定法―ナイアシンテストの確立、鈴木千賀志の胸郭形成手術導入など、めざましい成果をあげました。

一方、抗生物質の開発などにより昭和20年代後半に結核の死亡率が急速に低下するなかで、昭和30年代はじめには、研究の方向性を、がん制圧、特に肺癌制圧に向けて大きく舵を切りました。昭和33年には「肺がん発育本態研究部門」が設立され、がん研究を目的とする新研究部門の設置が相次ぎました。佐藤春郎の実験腫瘍学の確立、黒木登志夫の世界初試験管内での発がん実験の成功などがあります。この流れから肺がんの外科治療(鈴木千賀志)や、世界初のポジトロンCT(PET)による癌診断法の開発(松澤大樹)、日本初の脳死肺移植の実施(藤村重文)という現在に繋がる成果が生まれています。また、昭和37年には、国内初のがん化学療法研究部門が設置されています(斉藤達雄)。さらに、胸部・心臓疾患診断の臨床的ニーズから、工学系との共同研究により世界初の心臓超音波断層法が開発されました(田中元直)。医工学研究を本業とする教室の誕生です。

平成5年に渡辺民郎所長の下で加齢医学研究所への改組がなされ、設置目的を「難治癌および加齢脳疾患の制御」と定めました。この改組は、21世紀における我が国の超高齢化社会の到来という、時代を先取りしたものと言えます。また、同時に、当時急速に発展しつつあった分子生物学手法による研究への転換の側面も持っていました。発生・分化・老化・がん化など加齢現象の分子メカニズムの解明や免疫機構・DNA損傷修復機構など生体防御機構の解明、腫瘍の増殖機構や治療抵抗性の分子機構の解明とその制御などが新たな研究の方向性となりました。

平成16年、帯刀益夫所長の下で国立大学法人化という新たな体制に対応するとともに、将来構想検討を開始しました。その結果、「加齢医学研究」は今後とも重要な課題であり研究所名および設置目的は変更しないこと、ヒトを対象とする脳研究を強化することを決定しました。この方針に沿って、平成18年に脳機能開発研究分野、平成20年には老年医学研究分野を新設しました。さらに、外部資金等を活用して、人体用3テスラMRI装置を導入したのを皮切りに、動物用7テスラMRI,二光子レーザ顕微鏡、近赤外線スペクトル装置(NIRS)、また、脳磁図計測装置(MEG)を加えて、細胞、動物レベルから人体までのイメージング装置を備えた、世界でも有数の神経イメージングセンターを構築しました。このように、脳研究の体制は組織的にも装置の面からも大きく強化されたと言えます。

一方、平成18年5月に文科省から附置研の全国共同利用・共同研究拠点化への方針が示されました。福田寛所長の下で拠点化の利益および不利益について議論を重ね、拠点化を目指す方向で意志決定を行い、拠点化に向けて平成21年度概算要求の実現、所長裁量経費による全国共同利用・共同研究の公募研究実施などの実績作りを行いました。平成21年に行われた拠点認定ヒアリングに臨み、同年6月に「加齢医学研究拠点」として正式に認定されました。さらに拠点の研究を推進するための組織改革として、平成22年度に、加齢制御、腫瘍制御、脳科学の3研究部門体制に改組を行いました。また、拠点の国際化と産学連携の核として「スマート・エイジング国際共同研究センター」(附属施設)を新設しました。

世界一の長寿国となった我が国では、「認知症等の脳・神経疾患」や「難治性癌」を克服する「加齢医学研究」の重要性と期待はますます高くなってきています。加齢医学研究所は、スマート・エイジング(健康寿命の実現)を目指して、加齢機構の解明、加齢制御および加齢に伴う脳疾患、難治がんの予防から制御を目指して、分子レベルから個体レベルまで統合的に研究を推進し、その研究成果の社会への還元を行い、国際的研究拠点として、社会や全国の研究者コミュニテイーの要請に応えていきます。


抗酸菌病研究所

所長(1941年設置)

1941(昭和16)-1948(昭和23) 熊谷 岱蔵
1948(昭和23)-1963(昭和38) 海老名 敏明
1963(昭和38)-1968(昭和43) 佐藤 三郎
1968(昭和43)-1974(昭和49) 鈴木 千賀志
1974(昭和49)-1978(昭和53) 斎藤 達雄
1978(昭和53)-1984(昭和59) 佐藤 春郎
1984(昭和59)-1987(昭和62) 今野 淳
1987(昭和62)-1990(平成2) 立木 蔚
1990(平成2)-1991(平成3) 涌井 昭
1991(平成3)-1992(平成4) 本宮 雅吉
1992(平成4)-1993(平成5) 渡辺 民朗

加齢医学研究所

所長

1993(平成5)-1996(平成8) 渡辺 民朗
1996(平成8)-1998(平成10) 今野 多助
1998(平成10)-2000(平成12) 藤村 重文
2000(平成12)-2006(平成18) 帯刀 益夫
2006(平成18)- 2012(平成24) 福田 寛
2012(平成24)-2014(平成26) 佐竹 正延
2014(平成26)- 川島 隆太

抗酸菌病研究所

病院長(1964年設置)

1964(昭和39)-1973(昭和48) 岡 捨己
1973(昭和48)-1974(昭和49) 斉藤 達雄
1974(昭和49)-1982(昭和57) 今野 淳
1982(昭和57)-1984(昭和59) 涌井 昭
1984(昭和59)-1989(平成元) 仲田 祐
1989(平成元)-1990(平成2) 涌井 昭
1990(平成2)-1991(平成3) 本宮 雅吉
1991(平成3)-1993(平成5) 藤村 重文

加齢医学研究所

病院長

1993(平成5)-1998(平成10) 藤村 重文
1998(平成10)-2000(平成12) 金丸 龍之介


年表 1941年(昭和16) – 1988年(昭和63)

事項
事項
抗酸菌病研究所設置 1941年(昭和16)12月15日 内科学、癩、病理解剖研究部門の3研究部門で発足
北四番丁に研究所本館建設、仙台厚生病院本館病院(附属病院として機能)建設 1943年(昭和18)11月1日
細菌学研究部門、生化学研究部門、薬理学研究部門設置 1944年(昭和19)8月22日 6研究部門
抗酸菌病研究所開所式典 1944年(昭和19)10月9日
外科学研究部門設置 1950年(昭和25)5月24日 7研究部門
小児科学研究部門設置 1953年(昭和28)8月1日 8研究部門
肺癌の発育本態研究部門設置 1958年(昭和33)5月29日 9研究部門
癌化学療法研究部門設置 1962年(昭和37)4月1日 10研究部門
北四番丁に抗酸菌病研究所附属病院設置 1964年(昭和39)4月1日
第50回集談会開催(所内研究会) 1965年(昭和40)12月4日
抗酸菌病研究所附属病院開院 1966年(昭和41)7月1日 内科、小児科、外科の3診療科で発足
放射線医学研究部門設置 1967年(昭和42)5月31日 11研究部門
臨床癌化学療法研究部門設置 1969年(昭和44)5月22日 12研究部門
医学研究科の基礎講座となる 1972年(昭和47)4月1日
化学療法科設置 1975年(昭和50)10月1日 4診療科
星陵地区の現在地に研究所棟新築・移転 1977年(昭和52)3月23日
放射線科設置 1978年(昭和53)10月1日 5診療科
電子医学研究部門設置 1979年(昭和54)4月1日 13研究部門
医学部附属動物実験施設腫瘍実権棟が竣工 1980年(昭和55)3月
星陵地区の現在地に附属病院等新築・移転 1980年(昭和55)3月31日
創立40周年記念式典、記念シンポジウム 1981年(昭和56)12月5日
医学部附属動物実験施設腫瘍分室設置 1982年(昭和57)12月20日
癌細胞保存施設設置 1984年(昭和59)4月11日
イリノイ大学工学部バイオアクスティクス研究所(アメリカ)と部局間学術交流協定を締結 1988年(昭和63)8月29日

年表 1991年(平成3) –

事項
事項
創立50周年記念「仙台国際学術シンポジウム」 1991年(平成3)11月14-16日 「がん研究の最前線」国際センター
創立50周年記念式典 1992年(平成4)2月22日
加齢医学研究所へ改組 遺伝子導入研究分野、神経機能情報研究分野、基礎加齢神経研究分野(客員)新設 1993年(平成5)4月1日 5研究部門、16研究分野
第100回集談会開催(所内研究会) 1993年(平成5)6月1日
癌細胞保存施設を附属医用細胞資源センターへ改組 1997年(平成9)4月1日 16研究分野、1附属施設
外部評価(高久史麿委員長) 1998年(平成10)10月21日
1999年(平成11)2月8日
1999年(平成11)3月報告書発行
遼寧省腫瘤病院・遼寧省腫瘤研究所(中国)と部局間学術交流協定を締結 1998年(平成10)12月7日
附属病院の廃止、医学部附属病院との統合(*医療機関としての加齢医学研究所附属病院は、学内措置で平成12年9月30日まで存続) 2000年(平成12)4月1日 内科→遺伝子・呼吸器内科
外科→呼吸器外科
化学療法科→腫瘍内科
小児科→小児腫瘍科
放射線科→加齢核医学科
生命科学研究科の基幹講座、協力講座として参画 2001年(平成13)4月1日 基幹1(仲村)、協力3(佐竹、帯刀、松崎)
旧病院棟の改修(プロジェクト総合研究棟) 2001年(平成13) 2002年(平成14)3月25日完成
臨床医工学(フクダ電子)寄附研究部門設置 2003年(平成15)4月1日 2008年(平成20)3月31日設置期間満了
スモレンスクステートメディカルアカデミー(ロシア)と部局間学術交流協定を締結 2003年(平成15)7月18日
東北大学病院設置 2003年(平成15)10月1日 歯学部附属病院の統合
国立大学法人東北大学に移行 2004年(平成16)4月1日
附属ゲノムリサーチセンター設置 2004年(平成16)4月1日 16研究分野、2附属施設
脳機能開発研究分野設置 2006年(平成18)4月1日 17研究分野、2附属施設
外部評価(鶴尾隆委員長)(法人化後3年間の中間評価) 2007年(平成19)1月16-17日 2007年(平成19)3月報告書発行
新教員制度施行 2007年(平成19)4月1日
抗感染症薬開発寄附研究部門設置 2007年(平成19)4月1日
臨床研究分野の医学部への統合検討 2007年(平成19)4月19日
ブレイン・ダイナミクス研究棟竣工 2007年(平成19)4月
加齢老年医学研究分野設置 2008年(平成20)1月1日 18研究分野、2附属施設
キューバニューロサイエンスセンター(キューバ)と部局間学術交流協定を締結 2008年(平成20)3月11日
呼吸器腫瘍研究分野廃止 2008年(平成20)3月31日 17研究分野、2附属施設
認知機能発達(公文教育研究会)寄附研究部門設置 2008年(平成20)4月1日
臨床医工学研究分野(客員)設置 2008年(平成20)4月1日 18研究分野、2附属施設
ブレイン・イメージング研究棟竣工 2008年(平成20)4月
実験研究棟改修 2008年(平成20) 2009年(平成21)3月25日完成
マサリク大学医学部(チェコ)と部局間学術交流協定を締結 2008年(平成20)5月28日
加齢生体防御学研究分野設置 2008年(平成20)7月1日 18研究分野、2附属施設(発達病態研究分野の名称変更)
「AARP」(旧全米退職者協会、米国ワシントン)と包括的学術協定を締結 2009年(平成21)3月23日
遺伝子実験センター設置(全学施設) 2009年(平成21)4月1日
加齢ゲノム制御プロテオーム(DNA修復)寄附研究部門設置 2009年(平成21)4月1日
加齢医学研究拠点(単独型共同利用・共同研究拠点)に認定 2009年(平成21)6月25日 有効期間:2010年(平22)4月1日〜2016年(平28)3月31日
附属スマート・エイジング国際共同研究センター設置 2009年(平成21)10月1日 18研究分野、3附属施設
仙台市教育委員会と組織的連携協力に関する協定を締結 2010年(平成22)2月19日
基礎加齢研究分野設置 2010年(平成22)3月1日 19研究分野、3附属施設
臨床医工学研究分野(客員)廃止 2010年(平成22)3月31日 18研究分野、3附属施設
3研究部門へ改組 2010年(平成22)4月1日 3研究部門、18研究分野、3附属施設
マギル大学モントリオール神経研究所(カナダ)と部局間学術交流協定を締結 2010年(平成22)6月8日
基礎加齢神経研究分野(客員)廃止 2010年(平成22)10月14日 17研究分野、3附属施設
イン・シリコ解析研究分野設置 2010年(平成22)11月1日 18研究分野、3附属施設
スマート・エイジング国際共同研究センター棟竣工 2011年(平成23)2月15日
分子腫瘍学研究分野設置 2011年(平成23)3月1日 19研究分野、3附属施設
遺伝子機能研究分野廃止
分子発生研究分野廃止
附属ゲノムリサーチセンター廃止(代謝制御分野に転換)
2011年(平成23)3月31日 17研究分野、2附属施設
代謝制御分野設置
プロジェクト研究推進分野設置
2011年(平成23)4月1日 19研究分野、2附属施設
高齢者薬物治療開発研究部門が発足 2011年(平成23)7月1日
トリノ大学(イタリア)と部局間学術交流協定を締結 2011年(平成23)7月21日
創立70周年記念式典、国際シンポジウム 2011年(平成23)11月28-29日
ユヴァスキュラ大学(フィンランド)と部局間学術交流協定を締結 2012年(平成24)4月12日
コペンハーゲン大学ヘルシーエイジング研究センター(デンマーク)と部局間学術交流協定を締結 2012年(平成24)9月26日
西南大学心理学部(中国)と部局間学術交流協定を締結 2012年(平成24)11月5日
遺伝子情報研究分野廃止
分子神経研究分野廃止
2013年(平成25)3月31日 17分野、2附属施設
遺伝子発現制御分野設置 2013年(平成25)4月1日 18分野、2附属施設
テマセック・ポリテクニック(シンガポール)と部局間学術交流協定を締結 2013年(平成25)7月15日
免疫遺伝子制御研究分野廃止 2014年(平成26)3月31日 17分野、2附属施設
腫瘍生物学分野設置 2014年(平成26)4月1日 18分野、2附属施設
マッコーリー大学・オーストラリアン・スクール・オブ・アドバンスト・メディシン(オーストラリア)と部局間学術交流協定を締結 2014年(平成26年)4月15日
附属非臨床試験推進センター設置 2015年(平成27)4月1日 18分野、3附属施設
非臨床試験推進分野設置 2015年(平成27)4月1日 19分野、3附属施設
ユビキタスセンサー研究分野設置 2015年(平成27)4月1日 20分野、3附属施設
呼吸不全電子医学分野設置 2015年(平成27)4月1日 21分野、3附属施設
加齢医学研究拠点(共同利用・共同研究拠点)に再認定 2016年(平成28)1月14日 認定の有効期間:平成28年4月1日~平成34年3月31日
アラブ首長国連邦大学医学健康科学部(UAE)と部局間学術交流協定を締結 2016年(平成28年)5月25日
レディング大学心理学・臨床言語科学部(イギリス)と部局間学術交流協定を締結 2016年(平成28年)9月14日
スマート・エイジング学際研究重点拠点の開所 2016年(平成28)10月1日
シドニー大学(オーストラリア)と部局間学術交流協定を締結 2017年(平成29年)2月14日
附属スマート・エイジング国際共同研究センター廃止 2017年(平成29)3月31日 21研究分野、2附属施設
代謝制御分野廃止 2017年(平成29)3月31日 20分野、2附属施設
病態臓器構築分野廃止 2017年(平成29)3月31日 19分野、2附属施設
スマート・エイジング学際研究重点拠点から、スマート・エイジング学際重点研究センターへ改組 2017年(平成29)4月1日
創立75周年記念、東北大学 知のフォーラム 2017年(平成29)5月10-26日
ベルゲン大学(ノルウェー)と部局間学術交流協定を締結 2017年(平成29年)5月10日
カスティーリャ・ラ・マンチャ大学(スペイン)と部局間学術交流協定を締結 2017年(平成29年)12月19日