ウイーンで知恵の実を 

國時景子
機能画像医学研究分野(博士1年)
 

食べて、歩いて、遊んで、学んだ1週間


シベリア寒気団が欧州で猛威を振るい、気温は連日氷点下、寒風吹き荒ぶ中、ECR2018(European Congress of Radiology:2月28日―3月4日)に参加してきました。

ECRは学会全体で若手の取り込みに力を入れていて、今回私はInvest in the Youth(IITY)というプログラムに採択され、MRIを用いた眼球形態の検討についてVoice of EPOSという簡単な口演の機会をいただきました。このセッションは驚くべきことに日本語で行われました。採択通知を見たときは、日本人はそこまであからさまに英語がダメなのか、と衝撃を受けましたが、調べてみると、イタリア語、エジプト語、中国語等、多数の言語によるセッションが開かれていました。考えてみると、北米と違って欧州は英語が母語ではない人が大半ですから、英語のセッションも多少ゆっくりめで聞き取りやすかったようにも感じます。発表後には日本のとあるお役所の視察の方にお声がけいただき、画像診断技術や今話題の人工知能についても少しお話しできました。

会場内のメインホールでは、参加者たちを大きな龍が出迎えてくれました。この龍の周りが休憩スペースになっており、この広場では会期中ずっと大量のリンゴが配られていました。老若男女がリンゴに群がり、龍を囲んでみんなでリンゴを食べるという不思議な空間でした。

期間中にはホイリゲ(ワイン酒場)で行われる学会主催のSocial Eventにも単身参加してみました。最悪、お酒と料理を楽しんだら部屋の隅っこで一人で本でも読もう、と覚悟していたのですが、幸運にも行きのバスでノルウェーの方の隣になり、そのまま会場でオーストラリア、ポーランド、インド、イギリスの方も交えて多国籍テーブルを形成し、楽しく過ごすことができました。意外と一人さみしく学会に来ている人も多いようで、とてもいい経験になりました。

さて、ウイーンは、多くの芸術家が住んだ街でもあります。学会の合間にいろいろな作曲家ゆかりの地もめぐってきました。写真はハイリゲンシュタットのBeethovengang(ベートーベンの小道)です。彼は大の散歩好きで、ウイーンの周りの森をひたすら歩いていたようです。現地を訪れると、(私は電車で移動しましたが)その距離を体感でき、このコースを散歩するのはややcrazyとすら思われました。やはり天才とはそういうものなのかもしれません。散歩はクリエイティビティ、アイディアの源とも言われていますので、私も観光がてらせっせと歩数を稼ぎました。

というわけで、よく食べ、よく歩き、よく遊び、よく学び、とても充実した時間を過ごすことができました。加齢研およびECRのご支援に感謝します。

画像:学会のメインホール(上)/ ベートーベンの小道(下)

名前:國時景子

所属:機能画像医学研究分野
(医学系研究科 医科学専攻 博士1年)