教授 医博 石岡 千加史
准教授 医博 城田 英和
准教授 医博 高橋 雅信
講師 医博 西條 憲
助教 医博 今井 源
助教 医博 小峰 啓吾
助教 医博 大内 康太
助教 医博 笠原 佑記
助教 医博 谷口 桜
助教 医博 川村 佳史
医員 医博 佐々木 啓寿
医員 医博 吉田 裕也



設立理念
癌の内科的治療に関する学理の研究をもって人類福祉に貢献することを目的として本研究分野は1969年に設立された。(初め、抗酸菌病研究所臨床癌化学療法研究部門として設立される。)
歴史
斉藤達雄は、基礎研究部門として抗酸菌病研究所に新設された癌化学療法部門の初代教授に着任後、1969年(分野創設)に臨床癌化学療法部門の初代教授に着任した。斉藤は抗癌剤の臨床的評価を行うための効果判定基準を設け(小山・斉藤の効果判定基準)、米国で導入されていたフェーズスタディの概念に基づく評価を行った。様々な抗癌剤や多剤併用療法の臨床的評価を行ったが、当時固形癌では十分な臨床効果の得られる治療法は開発されなかった。そこで1978年涌井昭が二代目教授に就任すると、抗癌剤の感受性、耐性、投与法といった抗癌剤の作用機序の基礎的研究にも力を注ぎ、新しい抗癌剤投与法の開発を行った。その結果、昇圧癌化学療法などの新しい投与法が開発され、臨床に応用されて、一部の症例に効果が認められた。1991年三代目教授金丸龍之介が就任した。1993年抗酸菌病研究所が加齢医学研究所へと改組され、本研究分野は腫瘍制御研究部門に癌化学療法研究分野として組み込まれた。1990年代以降の分子生物学の発展による癌研究の進歩により、癌を内科的に制御するためには抗癌剤の開発のみでなく、癌の生物学的研究が必要であると考えからがん遺伝子やがん抑制遺伝子に関する研究が推進された。2000年4月より研究所附属病院の統廃合に伴い、診療部門は医学部附属病院へ移行し、診療科名を腫瘍内科に変更した。2003年6月より四代目教授石岡千加史が就任し、がんの分子診断・分子治療法開発を研究テーマに、分子標的薬の臨床試験に加えて、遺伝子解析による予後や治療感受性予測を導入した臨床研究が行われている。さらにがん薬物療法に関するトランスレーショナルリサーチの実用化を目指した研究に取り組んでいる。現在の研究は癌化学療法に留まらず集学的治療を含めたより広い領域に及ぶため、2009年の分野開設40周年を記に、2010年から分野名を臨床腫瘍学分野に変更した。
スタッフ
東北大学大学院医学系研究科に所属するスタッフ(加齢医学研究所兼務)として教授1名、准教授1名、加齢医学研究所に所属するスタッフとして准教授1名、助教1名、東北大学病院に所属するスタッフ(加齢医学研究所兼務)として講師1名、助教5名、医員2名から構成される。
研究テーマ
1981年以降、我が国では悪性新生物(すなわち、がん)は死因の第1位となり、その後、がんの死亡者数は増加の一途を辿っている。がんの予防と検診の受診率の向上に加えて、進行がんの診断法や治療法の開発は国策として重要な課題になっている。当分野は50年前の設立時から進行癌患者の病態の把握と、そこから得られた医学的知見をがんの病態診断やがん化学療法に応用する研究を展開してきた。がん分子標的治療薬の登場により進行癌患者の治療成績は着実に向上しているが、未だ治療法が確立していないがんや、薬剤耐性の問題が大きく、より有効ながん薬物療法を開発する必要性は高い。また、2019年6月にはがん遺伝子パネル検査が保険償還され、がんの個別化医療が幕を開けた。最適化された個別化医療の実践に向け、新規抗がん薬や併用療法の開発に加えて、バイオマーカーの開発の重要性が一段と高まっている。遺伝子パネル検査で得られた遺伝子情報を、臨床情報と統合するバイオインフォマティクスの手法開発や人材の育成も新たな課題とされている。
当分野では、腫瘍内科学の中心的テーマである進行がん患者の内科的診断方法や治療方法の開発を主な研究テーマに据え、文部科学省次世代がん研究シーズ育成プロジェクト、文部科学省橋渡しネットワークプログラム(シーズAおよびシーズB)、文部科学省科学研究費、厚生労働省科学研究費、文部科学省がんプロフェッショナル基盤養成推進プラン、厚生労働省がん診療連携拠点病院強化事業費等の公的研究費や補助金、ならびに民間研究助成金等の研究費を活用して、主に以下に掲げる研究を推進している。さらに、進行がん患者の生活の質を改善するための緩和ケアや支持療法の課題、地域のがん医療水準の向上のための様々な活動を研究の一環として展開している。次世代がん医療を担う人材育成にも注力している。

研究内容の詳細は臨床腫瘍学分野のホームページへ