教授 山家 智之
准教授 医博・工博 白石 泰之



昨日、助からなかった患者さんが、明日は、助けられるように。 今日、治せなかった病気が、明日は、治せるように、医学が進歩していかなくては、研究所の存在の意味というものが、ないではありませんか? 

加齢医学研究所は、抗酸菌の時代から、医学の進歩に大きく貢献してきました。

学生時代には、影も形もなかった臓器移植が実現し、心臓が止まっても、Evaheartの患者さんは、歩いて外来を受信します。この研究所において、世界で初めて開発された超音波診断法により、心臓は、聴診器だけではなく、目で見て診断する時代に入り、絶対助からなかった末期がんの患者さんでも、遺伝子治療、個別化医療による化学療法が生存率を上げています。東北帝国大学の時代から、この研究所は、日本だけではなく、世界の医療・福祉に大きく貢献してきました。

ところが、時代は、さらに様変わりし、いろいろなシステムが変更されなくてはならない激動の時代へ向かっています。

抗酸菌病研究所では、独自の新しい診断法が研究され、さらに製薬が開発され、ついで、動物実験が進められ、製品化に結び付いてきたので、日本の医療に貢献できてきました。新しく手術法が開発されると動物実験が行われ、良好な成績で、患者さんの医療に貢献できる可能性があれば臨床に進むこともできました。・・・と、言うのは、今やもう、古き良き時代の、遠い遠~い、昔のお話です。

開発にも、動物実験にも、臨床試験にも、新たなグローバルスタンダードが求められるようになってきました。残念ながら、我が国の、電子医療機器開発は、著しく世界の趨勢の後塵を拝していると言われています。

日本再興戦略(平成24年6月閣議決定)では、「健康長寿社会の実現を謳い、我が国発の優れた革新的医療技術の核となる医薬品・医療機器・再生医療製品等を世界に先駆けて開発し、素早い承認を経て導入する」ことを、目標に掲げています。医療機器の開発を無視して、これからの日本の科学技術開発はないのです。[p>

そこで、迅速な機器開発を可能とするための必須条件である、理論構築、プロトタイプモデルから、実物大循環回路などによる基礎的な特性評価、動物実験などによる製品機能、生体機能評価、及び、プレクリニカルな臨床直前のレギュラトリーサイエンスに基づく評価などを、世界に通じるグローバルスタンダードで、一気通貫で行いうる施設として、「非臨床試験推進センター」が設立されました。

このようなシステムは、世界的にも他に類を見ないもので、本事業で開発した電子医療機器や、ヘルスケアシステムは、隣接するキャンパスにある大学病院臨床研究推進センター(CRIETO)において臨床試験を行うことが可能なので、アイデア段階の基礎理論作りから、モデル、実物大模型、動物実験、非臨床動物実験、さらに臨床試験、治験まで切れ目のない迅速な一気通貫の開発が本拠点を中心として可能となり、震災被災地の東北地区で新しい電子医療機器、ヘルスケアシステム産業の創生も視野に入れることができることが期待されています。

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現在、国内外の様々な施設の医療機器が研究されています。