研究所概要
所長あいさつ
本研究所は、昭和16年に、当時国民病と言われた結核の克服を目的として、「抗酸菌病研究所」として設立されました。結核の診断・治療研究の中心的センターとしての役割を果たした後、昭和30年代前半からは、がん研究という新たな領域に方向転換が図られ、癌の診断・治療法の開発の面で大きな成果をあげました。
さらに平成5年には、超高齢社会の到来という時代の要請にさきがけて、「加齢医学研究所」に所名を変更し、新たな歩みを始めました。「加齢」は必ずしも老化と同義ではありません。本研究所では人のきざんでいる寿命、すなわち受精の瞬間から発生・成長し、成熟・老化としてとらえ、その全過程を扱う医学を「加齢医学」と定義しています。21世紀の大きな医学的問題である「加齢に伴って発症する認知症などの脳・神経疾患、および難治性の癌」が、本研究所の対象とする疾患群です。目的達成のために基礎研究では、発生・分化・がん化などの加齢現象の分子メカニズムや生体防御機構の解明を目指しています。また、これらの基礎研究で得られた知見に基づき加齢に伴う種々の難治疾患の先端的な診断・治療法を開発し、さらにその臨床応用を大学病院にて実践しております。現在の医療では標準的な診断・治療法として普及した超音波画像診断法やポジトロン断層法(PET)による癌診断法、近年の脳死肺移植は、本研究所で開発され発展してきた技術です。
平成16年に始まった国立大学の法人化は、第一期6年間の中期目標・中期計画を終え、平成22年から第二期目に入っています。また、附置研究所の新たな位置づけとして、同じく平成22年度から、研究者コミュニティに開かれた共同利用・共同研究型の「加齢医学研究拠点」として再出発しております。それに合わせて、加齢医学研究拠点を実質化するための新たな組織体制として、研究部門体制を3部門(①加齢制御部門、②腫瘍制御部門、③脳科学研究部門の3つ)に改組いたしました。また、拠点活動の国際化をめざして、平成21年にはスマート・エイジング国際共同研究センターを発足させました。同センターには、高磁場MRI装置などの最先端脳画像装置を始めとする研究機器および研究資源・技術を整備し、国際的にみても最高レベルの研究環境を実現いたしました。
今後は、3部門体制の元で、①加齢現象の分子メカニズムの解明、②難治性腫瘍の本態の解明、診断・制御に関する研究、③脳発達・加齢研究および認知症などの脳加齢疾患の制御をめざして拠点のCOE(center of excellence)化を目指します。そして心身ともに健やかに賢く老いる生き方、即ちスマート・エイジングの実現に向け精励し、貢献したいものと願っております。
おりしも本研究所は、創立七十周年を迎えて平成23年11月28日に記念式典および国際シンポジウムを挙行しました。加齢研がこれまで果たしてきた役割と貢献を振り返りつつ、未来に向けたメッセージを発することができたと考えております。また、この催事は東日本大震災からの復旧・復興をめざして研究所が立ち上がりつつあることを世に示すことも意図しておりました。加齢医学研究が目指すスマート・エイジングの実現に向けて研究所が一丸となって邁進いたしますので、より一層のご理解とご支援をお願い申し上げます。
加齢医学研究所長 佐竹 正延
