東北大学加齢医学研究所 加齢医学研究拠点 | Institute of Development, Aging and Cancer, Tohoku University

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教授リレーブログ
第36回
本橋 ほづみ
Hozumi Motohashi
コントロールサンプルからの発見
ポジコン、ネガコンだったはずなのに、そこに意外な結果が。。。
 実験を行うときは、どのようなコントロールを設定するかが重要です。私が行った実験のコントロールたちは、本来の役割に加えて、しばしば発見のきっかけを作ってくれました。今でも忘れられない「ときめく」瞬間を経験させてくれたコントロールは、大学院時代にRNaseプロテクションアッセイという実験で使用したマウス脳のRNAです。
 大学院生だった私は、MafK遺伝子の転写開始点を決めるために、マウスの胎児と肝臓のRNAを使ってRNaseプロテクションアッセイを行いました。その際、脳でMafKの発現が高いことがわかったので、「ポジコン」として脳のRNAを合わせて調べました。ところが、ポジコンのはずの脳RNAではまったくバンドが検出できませんでした。当時、1つの遺伝子は1つの転写開始点を持つのが当たり前と考えられていました。もしかして、脳では胎児や肝臓とは別の転写開始点が使われてるってこと!?折しも、Gata1遺伝子が、造血細胞と精巣とで異なる転写開始点を有するという発見がNature誌に掲載されたばかりでした。世紀の大発見!と勇みたったのも束の間、あっという間に、複数の転写開始点をもつ遺伝子は稀じゃないということになり、科学の進歩の速さを思い知らされました。とはいえ、これは私の大事な、ちょっとほろ苦い「小発見」です。
 次回は老年医学の荒井先生です。お楽しみに。

(写真上:大学院を修了後、筑波大学に異動し、引っ越し荷物の片付け作業中。五十嵐和彦先生、加藤恭丈先生と)

Profile 名 前:本橋 ほづみ(もとはし ほづみ)
出身地:生まれは鹿児島、育ちは仙台
趣 味:ウィンドウショッピング
分野名:遺伝子発現制御分野(公式HP独自HP

RNaseプロテクションアッセイの結果。レーン4・7は
マウス胎児RNA、レーン5・8はマウス肝臓RNA、
レーン6・9はマウス脳RNA

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