東北大学加齢医学研究所 加齢医学研究拠点 | Institute of Development, Aging and Cancer, Tohoku University

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染色体を集める「風」〜モーター分子による染色体整列のしくみ〜


図1
 私たちの体はたくさんの細胞からできていますが、そのそれぞれに遺伝情報が受け継がれるためには、分裂した細胞に染色体が正確に分配されなければいけません。染色体の分配は紡錘体という装置によって行われ、この際にまず染色体が紡錘体の中央に集まって整列します(図1)。今回私たちは、2つのモーター分子KidとCENP-Eがこの染色体が紡錘体中央に集まる過程にはたらいていることを明らかにしました。
図2
Kidは染色体を紡錘体の極から遠ざける「風」のようなはたらきをすることが知られていましたが、ヒト細胞での実際の役割はよくわかっていませんでした。今回の研究から、染色体が紡錘体の中央に集まる初期の段階ではKidが主にはたらき、その後CENP-Eがそのはたらきを引き継ぐという新たなモデルが考えられました。(図2)。ほとんどのがんでは染色体分配の正確性が失われており、本研究の成果はその原因の解明に役立つことが期待されます。



[画像]
図1 正確な染色体分配には、染色体が紡錘体中央に整列することが必要である
図2 KidとCENP-Eの使い分けのモデル:Kidは紡錘体形成初期の微小管が不安定な時期に、一方CENP-Eは紡錘体形成が進み微小管が安定化される時期に染色体の紡錘体中央への移動にはたらく

発表論文
Kenji Iemura and Kozo Tanaka.
Chromokinesin Kid and kinetochore kinesin CENP-E differentially support chromosome congression without end-on attachment to microtubules.
Nature Communications (2015) 6, 6447.

問い合わせ先
東北大学加齢医学研究所 分子腫瘍学研究分野 教授 田中耕三
TEL : 022-717-8491
E-mail : k.tanaka*idac.tohoku.ac.jp (「*」を「@」に変換して下さい )

2015年03月10日 掲載