東北大学加齢医学研究所 加齢医学研究拠点 | Institute of Development, Aging and Cancer, Tohoku University

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被災地ベンチャーから人工心臓 アメリカ進出


  東北大学加齢医学研究所、医工学研究科などで、臨床前試験、動物実験を重ねてきた植え込み型の遠心ポンプ型人工心臓EVAHEARTが、アメリカへ進出することに成功し、この度、アラバマ州バーミンガムの医療施設で、第1例の植え込み手術が実施され、2015年1月、患者様は元気で退院されました。
 日本発の医療技術として、今後の更なる米国治験推進、そして世界への展開が期待されます。

遠心ポンプ型人工心臓EVAHEART
東京女子医大、東北大、早稲田大、東京大学などが、ベンチャー企業サンメディカル技術研究所と共同研究で開発した人工心臓であり、東北大学では長年動物実験を担当し、植え込み型補助人工心臓としての動物実験では世界最長レベルの生存記録を更新しています。日本では製造と保険収載が認可され臨床が開始されており、その優れた技術の海外への展開が期待されていました。
 この度米国における臨床試験を担当したのは、第5次ふくしま医療福祉機器開発事業費補助金事業採択企業として設立された国産人工心臓の海外展開を手がける株式会社EVIジャパン(本社:福島市、代表取締役社長:本村禎)です。
 従来の治療法では延命出来ない数万例の重症心不全患者に対して実施されている心臓移植は移植先進国の米国でもわずか約2,000例であり、移植ドナー不足が解消される目処はたっていません。
 これら移植を受けられない待機患者に対して移植までの待機期間、血流補助を行う医療機器が補助人工心臓(Ventricular Assist Device:VAD)です。現在では、心臓移植患者の半数以上がVADのサポートを受け、移植を待ちながら日常生活へ復帰する時代となり、さらには移植の非適格の患者への恒久使用も、欧米では、一般的な治療手段となっています。このような補助期間の長期化に伴い、更なる信頼性・耐久性の高いVADが、臨床の現場では求められています。EVAHEARTは、最近では主流となってきた定常流型と呼ばれる体内植え込み型VADです。日本国内で薬事承認を受け、これまで日本では約130例の臨床例に応用された信頼性の高いシステムです。その高流量特性、耐久性、信頼性の高さは世界の医療機関や学会等で注目されており、海外市場への臨床投入が嘱望されてきました。EVIジャパンは、米国現地法人(Evaheart, Inc.、ヒューストン)を通して臨床治験活動を行うべく、海外へ製品を出荷開始しました。本臨床治験では、第一相安全性パイロット試験として2015年末までに米国医療施設6拠点で植え込みを実施する予定です。第一例の植え込み手術は、12月17日未明、アラバマ州バーミンガムの医療機関において実施されました。重症虚血性心筋症の52歳男性に対して心臓移植までのブリッジ目的で植え込まれ、患者は人工呼吸器から離脱しリハビリを開始して、順調に経過し、2015年1月、元気に退院に至っています。従来の連続流型VADとは異なり、EVAHEARTは、その広い入口径による高い前負荷特性により、弱った自己心の拍動を、より増幅させる効果が期待されており、健常人に近い脈動を、維持出来る可能性から、より、生理的な補助人工心臓として、アメリカの患者さんにも大きな福音になると期待されます。

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植え込み型遠心式補助人工心臓EVAHEART


問い合わせ先
山家 智之(やんべ ともゆき)
東北大学加齢医学研究所心臓病電子医学 教授
〒980-8575 仙台市青葉区星陵町4-1
TEL:022-717-8513
E-mail:yambe*idac.tohoku.ac.jp(*を@に換えて下さい)

吉澤 誠(よしざわ まこと)
東北大学サイバーサイエンスセンター
電話番:022-795-7128
E-mail:yoshizawa*yoshizawa.ecei.tohoku.ac.jp(*を@に換えて下さい)
2015年1月15日 掲載
 

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