東北大学加齢医学研究所 加齢医学研究拠点 | Institute of Development, Aging and Cancer, Tohoku University

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大学院博士課程2年(老年医学分野)の石木愛子先生が認知症学会奨励賞を受賞

2014年11月29日から12月1日まで横浜市で開催された第33回日本認知症学会学術集会において、大学院博士課程2年の石木愛子先生が学会奨励賞を受賞しました。受賞テーマは「アルツハイマー病患者における[18F]THK-5117集積値と脳萎縮に関する検討」で、これは加齢研老年医学分野とニューロイメージング研究寄附研究部門、医学系研究科機能薬理学分野、サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターが共同して開発・研究を進めてきたタウPETトレーサー研究が高い評価を受けものです。
 アルツハイマー病(AD)の神経病理所見である神経原線維変化の主要構成成分であるタウ蛋白を生体で可視化する技術は、ADの早期発見や客観的な重症度判定、そして今後開発が大きく期待される疾患修飾薬のコンパニオン診断に必要不可欠なツールとして、タウPETトレーサーの実用化が急がれています。現在東北大学を含む3施設がその開発にしのぎを削っていますが、我々が開発したTHKシリーズはタウ蛋白への結合特性および優れた薬物動態を示すことから国内外において高い評価を得ています。今年6月にはTHK-5117が2014年米国核医学会・分子イメージング学会のImage of the Year Awardを受賞しました(Okamura N et al. “In vivo selective imaging of tau pathology in Alzheimer’s Disease with 18F-THK5117.”)。神経原線維変化は神経細胞死をもたらし、一定の量の神経細胞死が起これば脳萎縮が引き起こされるだろうとの仮説をもとに、タウPETによるTHK-5117集積値と脳MRIにおける脳萎縮度を比較しました。
 これまでは亡くなられ後剖検でしか得られなかった神経病理所見を生前に可視化できるようになったことから、ADの病態解析に新たな方法論が加わり、活発な議論が交わされています。アミロイドβ蛋白がタウ蛋白の蓄積を引き起こすというアミロイド仮説から、実は若年のうちからタウ蛋白が生理的老化として蓄積を始めているという説、それならばいつからがADの発症と言えるのか。世界中の認知症研究者が注目しているテーマです。
 当研究グループはTHK-5117に更なる改良を加え、最適化タウPETトレーサーの臨床研究を進行中です。ADの病態解明、根本的治療薬の開発を推進し、世界が認知症による苦しみから解放される日が一刻も早く訪れるよう願っています。

 
2014年12月17日 掲載