東北大学加齢医学研究所 加齢医学研究拠点 | Institute of Development, Aging and Cancer, Tohoku University

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細胞内情報伝達分子Aktの活性化による、生殖細胞の再プログラム化


 生殖細胞は、通常は精子か卵子にのみ分化しますが、Steel Factor, LIF, bFGFなどのサイトカイン存在下で培養すると、その一部が多能性幹細胞に変化することが知られています。今回の研究では、未分化な生殖細胞である始原生殖細胞の過半数が、それらのサイトカインに加えて、細胞内情報伝達分子のAktの活性化により、数日ほどで多能性幹細胞へ容易に変化することを明らかにしました。体細胞のiPS細胞への変化には遺伝子の操作を含む複雑な操作が必要で、またその変化の効率は通常、非常に低いことが知られています。これに対して始原生殖細胞の場合は、情報伝達系の活性化のみで非常に高い効率で変化することがわかりました。この研究結果は、生殖細胞と多能性幹細胞が類似した性質を共有していることを示しており、また分化細胞の再プログラム化機構の解明にも繋がることが期待できます。なお、この研究は大阪大学、北里大学との共同研究として行われました。

[画像]
Aktの活性化によりマウス始原生殖細胞が変化してできた多能性幹細胞を示す。

発表論文
Development誌 (Development dev.113779; posted ahead of print October 30, 2014,doi:10.1242/dev.113779)

発表論文名
The majority of early primordial germ cells acquire pluripotency by Akt activation.
(日本語訳:未分化始原生殖細胞の多くは、Aktの活性化により多能性を獲得する)

著者名
Matsui, Y., Takehara, A., Tokitake, Y., Ikeda, M., Obara, Y., Morita-Fujimura, Y., Kimura, T., and Nakano, T.

問い合わせ先
加齢医学研究所 医用細胞資源センター 松居靖久 (ymatsui*idac.tohoku.ac.jp).
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2014年11月12日 掲載