東北大学加齢医学研究所 加齢医学研究拠点 | Institute of Development, Aging and Cancer, Tohoku University

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心臓形成におけるFgf10遺伝子の発現制御機構について解明

被験者

ヒトにおいて先天性心疾患は100人に1人という高頻度で起こっており、特に心臓流出路・右心室領域に関連する異常は多くみられます。この流出路・右心室の形成において重要なシグナルの一つとしてFgfシグナルが知られています。今回、渡邉助教らは心臓形成時に機能するFgfリガンドの一つであるFgf10の発現制御の分子メカニズムについて、転写調節機構を明らかにしました。

渡邉助教らはマウスを用いたBACトランスジェニックマウス解析を行い、Fgf10遺伝子のイントロン1内に、心臓での転写調節領域を同定しました。さらに、ノックアウトマウス、トランスジェニックマウスを用いた解析から、この領域にTbx1、Nkx2-5、Islet1といった心臓発生における主要な転写因子が結合し、転写を制御していることを突き止めました。興味深いことに、Nkx2-5とIslet1はFgf10遺伝子転写制御領域内の同じDNA配列に対して競合的に結合し、Nkx2-5は転写を抑制的に、Islet1は転写を活性化していることを発見しました(図)。この転写調節機構は心臓流出路・右心室領域で発現している他の遺伝子にも当てはまる可能性もあり、心臓形成における重要な分子基盤であると考えられます。

以上の研究成果は、2012年10月23日にProceedings of the National Academy of Sciences誌に掲載されました。

Watanabe Y, Zaffran S, Kuroiwa A, Higuchi H, Ogura T, Harvey RP, Kelly RG, Buckingham M.
Fibroblast growth factor 10 gene regulation in the second heart field by Tbx1, Nkx2-5, and Islet1 reveals a genetic switch for down-regulation in the myocardium.
Proc Natl Acad Sci U S A. 109 (45) 18273-18280 (2012)
リンク先URL; http://www.pnas.org/content/109/45/18273.abstract

2012年11月09日 掲載