東北大学加齢医学研究所 加齢医学研究拠点 | Institute of Development, Aging and Cancer, Tohoku University

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脳脊髄液バイオマーカーが認知症診断を目的に初めて保険収載となりました

C2ドメイン
    図1

図1に示すように、アミロイドは老人斑のまたタウは神経原線維変化の主要構成成分としてアルツハイマー病脳に広範に蓄積しています。図2に示すように、タウは微小管関連蛋白としてチュブリン蛋白を会合させ微小管を形成しています。アルツハイマー病ではこのタウが異常なリン酸化を受けることで微小管との結合能を失い互いに重合して凝集体(PHF)を形成します。これが神経原線維変化の本態です。細胞内に形成されたタウ凝集体の少なくとも一部は可溶性を保ちながら神経細胞死に伴ない細胞外液中に遊離し、さらには脳脊髄液腔(CSF)へと拡散すると考えられます。老年医学分野(東北大学病院老年科)では、世界に先駆けて1995年から脳脊髄液バイオマーカーの開発を進めてきました(文献1)。 C2ドメイン
    図2
この研究は米国National institute on Aging が主催するコンセンサス会議でもPosition Paperとして採択されました(文献2)。 脳脊髄液を採取するという僅かな侵襲性は残りますが、脳脊髄液総タウやリン酸化タウは中枢神経系の持続的な神経変性を反映する精度の高い客観指標として、ワールドワイドのグローバル観察研究であるAlzheimer’s Disease Neuroimaging Initiative研究でも標準的なバイオマーカーとして採用されています(文献3)。測定は脳脊髄液25マイクロリットルを用いタウ蛋白に対するモノクローナル抗体を用いてサンドイッチELISA法で行ないます。脳脊髄液総タウ或いはリン酸化タウはアルツハイマー病の前駆期から異常値を呈することが確認されています。今回の保険収載により近年のMRIやPET画像診断の進歩とともに、本邦における早期の認知症診断の精度が一段と増し、早期治療へと繋がることが期待されます。

1.Arai H, Terajima M, Miura M, et al. Tau in cerebrospinal fluid: A potential diagnostic marker in Alzheimer's disease. Ann. Neurol. 38:649-652, 1995.
2.Arai H, Clark CM, Ewbank DC, et al. Cerebrospinal fluid tau protein as a potential diagnostic marker in Alzheimer's disease (Position Paper). Neurobiol. Aging 19:125-126, 1998.
3. Weiner MW, Aisen PS, Jack CR Jr, et al. The Alzheimer's disease neuroimaging initiative: progress report and future plans. Alzheimers Dement.6:202-11, 2010


<本件問い合わせ先>
荒井 啓行 (あらい ひろゆき)
東北大学加齢医学研究所 老年医学分野 教授
〒980-8575 仙台市青葉区星陵町4-1
TEL:022-717-7182
E-mail:harai*idac.tohoku.ac.jp(*を@に換えて下さい)
2012年4月3日 掲載
 

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