東北大学加齢医学研究所 加齢医学研究拠点 | Institute of Development, Aging and Cancer, Tohoku University

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心筋に蓄積するアミロイドの生体画像化に成功

アミロイド
   図1

皆さん「アミロイドーシス」という疾患群があるのを御存知でしょうか?これは「アミロイド」という毒性を持った物質が身体の各組織に沈着し病気をおこすものです。認知症の代表疾患であるアルツハイマー病も「アミロイドβタンパク質」といるアミロイドの一種が脳に沈着し老人斑を形成して起こる病気です。老年医学分野の古川勝敏准教授、荒井啓行教授等は未来医工学治療開発センターの工藤幸司教授との共同研究を進め、アミロイドを画像化するPETプローブの開発を進めてきており「BF-227」プローブによるアルツハイマー病脳老人斑のPETでの画像化に成功しました(Kudo et al. J Nucl Med 2007, Furukawa et al. J Neurol 2011)。その後もプリオン病、多系統萎縮症などの神経疾患での研究を進めてきました(Okamura et al. Eur J Nucl Med Mol Imaging 2010, Kikuchi et al. Brain 2010)。
アミロイド
    図2
今回の研究は信州大学の池田修一教授らとの共同で行ったもので、心臓、消化管、末梢神経にトランスサイレチンというアミロイドが沈着する全身性アミロイドーシスの患者の腸管と心臓に焦点を当てて行った研究です。まず既に手術摘出されていた患者の腸管の生検標本をBF-227で染色すると粘膜下にアミロイドの沈着が蛍光顕微鏡下にて明らかに捉えられました(図1)。さらにこの患者を11CでラベルしたBF-227を用いてPET撮像をすると、患者の心筋に明らかな集積像が認められました(図2)。この結果は重合しβシート構造をとったトランスサイレチンを生きた心筋で初めてPET画像化したものです。
 これまでアミロイドーシスの確定診断は病変部位の生検に頼っており、侵襲が高く容易にできるものではありませんでした。しかし今回のPET画像化の成功は生検に比べはるかに低侵襲であり、かつ病気の早期にも活用できるので非常に臨床的意義の大きいものと思われます。今後はこのPETプローブをいろいろなアミロイドーシスの診断に応用し、さらなる診断レベルの向上に努めていく考えです。

<論文題目>
Furukawa, K., Ikeda, S., Okamura, N., Tashiro, M., Tomita, N., Furumoto, S., Iwata R., Yanai, K., Kudo, Y., Arai, H. Cardiac PET images with an amyloid-specific tracer in familial transthyretin-related systemic amyloidosis. Circulation (2012) 125: 556-557


<本件問い合わせ先>
荒井 啓行 (あらい ひろゆき)
東北大学加齢医学研究所 老年医学分野 教授
〒980-8575 仙台市青葉区星陵町4-1
TEL:022-717-7182
E-mail:harai*idac.tohoku.ac.jp(*を@に換えて下さい)
2012年2月15日 掲載
 

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