加齢研ニュース 第39号

      (平成15年6月1日)

所長室便り
随想
分野紹介
研究員会便り
研究会同総会広報


「所長室便り」 帯刀 益夫

 平成12年4月より所長を勤めさせていただきましたが,これといった成果もだせないまま3年間が過ぎてしまった感があります。法人化を前にして,大学としての改革の方向性や法人化の具体化を模索している時期であり,審議をしてもまた新しい変化に対応しなければならず,文部科学省,大学本部や評議会をはじめとして朝令暮改ともいうべき事態が何度かあり,その都度部局としての対応に時間をとられることが多かったように思われます。平成16年度から国立大学法人としてスタートすべく,現在国会でその法案審議が行われているところであり,この重要な時期に再び所長に選出されたことは,これまでの実績を考えると私にとって大変荷が重いことでありますが,皆さんのご協力とご支援を得て,なんとか努めてゆきたいと考えておりますので,よろしくお願いします。ここでは,東北大学の法人化にむけた最近の取り組み等について以下に報告したいと思います。
 吉本総長のもとで昨年の秋から,早稲田総務担当,大西教育担当,中塚研究担当,北村人事・財務担当の4副総長の東北大学の執行部体制が整い,従来の毎月第3月曜日火曜日と2日間にわたって行われていた部局長会議と評議会を,第3火曜日1日で両会議を行うようになり,また,審議内容も規定の制定等について可能な限り省略するなど,審議を密にする努力も進められている。
 法人化に向けた取り組みとしては,昨年10月に「東北大学制度検討委員会」での組織業務・人事制度と目標評価・財務会計についての「中間報告」が出されたが,早稲田副総長が中心となり,法人化法案を考慮に入れながら,残された検討すべき課題について予備的抽出を行い,15項目の検討課題を設定して,従来の「組織業務・人事制度委員会」および「目標評価・財務会計委員会」の合同会議として再開し,実質的な意見交換を重ね,4月に「中間報告以降の検討に関する報告」としてまとめられた。
 この中で,総長については,現総長が「国立大学法人東北大学」発足時における総長候補者となること,任期については現行では4年任期で2年間の再任となっているが,総長の任期は中期目標計画の期間に対応して6年とする考え方に一定の合理性があること,「国立大学法人法案」では,総長の選考は評議会等を代表する学内委員及び同数の学外委員で構成する「学長選考会議」で行うこととなっており,また,この会議は常設で学長の活動についてチェックする役目を担うことになっており,従来の選出方法とは大きく変わることになっている。
 法人化後の大学運営は,法案によれば,役員会での運営に関する審議と決定,経営協議会での審議,従来の評議会に相当する教育研究評議会での研究教育に関する審議,等が中心的なところであり,現行の評議会を中心的な審議決定機関とする運営方式とは大きく変わることになる。大学運営の決定機関として重要な役員会について,国立大学法人の役員は,総長,学外者を含む理事,監事で構成すること,法人化後の東北大学の理事数は7名と決定されており,現行(今年10月から1名増えて5名)の副総長ポストに加え,さらに2名の理事が加わることになる。部局運営については,国から法人が一定の自由裁量を得て運営するのと同様に,各部局も一定の裁量内で運営することがむしろ法人化の趣旨に適合すると考えられ,部局長の選考方法(外部から部局長の人材を迎える仕組みの是非,任期,補佐体制・執行体制等の整備を含む)は,大学として一律に定めるのではなく,各部局で決定することとする,としている。そして,法人化後は一定期間ごとに評価を受け,その評価結果がその部局の将来計画を左右するという意味で,その運営執行責任を持つ「部局長」と大学全体の運営に責任を持つ「執行部(役員会)」との間の連携がより重要となり,従来の評議会と部局教授会との関係は大きく変化することとなるが,一方で,大学の特色であるボトムアップ機能を充分活用しうる体制も重要であり,この点については今後検討することとする,としている。この報告では,このほかに,法人化後の東北大学の戦略性・機動性の強化,教員の任期と定年,教員の給与体系とインセンテイブ,部局,教員個人評価,資源配分などについての基本的考え方が挙げられており,また,医学歯学の付属病院の統合病院の運営についてもふれている。
 これらの検討と平行して,来年度からの国立大学法人東北大学の中期目標・中期計画の策定に向けて,たたき台を早稲田副総長が中心となって作製し,現在,部局長会議などを通じて学内のまとめをすべく審議を行っているところである。この中期目標・中期計画についても,昨年夏にはおおわらわで各部局でそれぞれ大部の案をまとめた経緯があるが,その後の文部科学省の方針では,中期目標・中期計画は,大学法人全体でまとめればよく,各部局のものは別表として5枚程度用意すれば良いこととなった。しかし,法人化後の大学の運営においては,大学本部の方針に基づいて各部局の運営がより強い影響を受けることを考えると,また,これまでの概算要求の方式も全学的な立場が強化されるなど,今後6年間の中期目標・中期計画の策定は将来構想を前提として慎重に進めなくてはならない。
 加齢研では,このような背景と,これまでの議論を踏まえ,法人化後を考慮に入れて,今年度から,評議員を副所長とし,総務人事,財務,研究推進,将来計画の4つの常置委員会を設置し,新しい運営体制を試行的に進めているところであり,法人化に向けた課題の取り組みもよりスムースにできると期待している。
 さて,大学附置研究所のあり方については,これまで,とりわけ財務面のあり方について,「文部科学省所轄ならびに国立大学附置研究所長会議」第61回総会において,わが国のあるべき学術研究体制として「リサーチ・カウンシル方式」を追求するとの提言・要望の提出(昨年5月),研究者数を基礎とするモデルパターンにより運営費交付金を積算する方式を核とする,法人化後の附置研究所の財務のあり方の具体的な対応策を示した文部科学省研究振興局学術機関課による「課内検討案」(昨年6月),科学技術・学術審議会の「共同利用機関特別委員会」の大学共同利用機関を4機構に再編する法人化案(昨年7月,これについては提案通り決定された)など,いろいろな提案が目まぐるしく提起され,審議が進められ,それに対応して加齢研としても取り組んできた。そして,昨秋,科学技術・学術審議会に大学附置研究所についての特別委員会が設置され,大学附置研究所の位置づけ・存在意義を明確化し,省令化することにより,財政的裏付けを明確にするとの方針で検討が進められ,「課内検討案」は振り出しに戻し,新たな特定運営費交付金の算定基準についても審議し,再定義のために一部の附置研究所のヒアリング等も行うなど,附置研究所の財政的基盤を明確にする方向で最終報告をまとめる段階に来ていた。しかし,国立大学法人法案の国会審議に入る段階で,これまで「学部,研究科,附置研究所等の大学の教育研究組織は省令で定める」としていた部分がはずされ,「大学の教育研究組織については,各大学の自主的な判断で柔軟かつ機動的に編制することにより,学術研究の動向や社会の要請等に適切に対応し,大学の個性化を図るため,学科以下の組織は法令に規定せず,各大学の予算の範囲内で随時設置改廃を行うこととする。」の様に変わった。このため,急遽,最終報告の変更を余儀なくされ,「これまで附置研究所が我が国の学術研究を担う中核的研究拠点として極めて重要な役割を果たしてきたことにかんがみ,法人化後の大学に附置される研究所に関しても,中核的研究拠点としての役割を担う附置研究所を念頭において検討を行い,特定の目的のために附置研究所を設置して重点的に研究活動を行うよう,国が国立大学法人に対して中期目標で示し,それに基づいて国立大学法人が中期計画に研究活動の基本的な事項を記載することが考えられる。」となったため,大学附置研究所の位置づけや財政的裏付けは弱いものとなった。東北大学としてもこの点を考慮に入れて中期目標・中期計画を策定しようとしているが,今後の附置研究所のあり方はまだ流動的である。加齢研の学内での位置付けについてもこれまで以上に明確にする必要が生じてきたように思われ,これまで加齢研の設置目的などの研究方針の検討だけでなく,現在進められている21世紀COE等も含めて,医学系をはじめとして東北大学のライフサイエンス研究教育の将来計画も考慮に入れた研究所の将来像を考えてゆくことも大切で有ると考えている。東北大学の附置研究所としても,学内でもより連携を強化した取り組みが必要と考え,新たな連携研究機構の構想も協議を進めているところである。
 このように,国立大学法人化のための取り組みは大学本来の研究や教育とは異なる負担を強いており,現在の国会審議等も含めてまだ流動的であるが,今後の大学研究教育環境のより良い整備のためのステップとして,みなさんのご協力を得て進めてゆきたいと思いますので,よろしくお願いします。

「随 想」 十勝平野から 帯広第一病院副院長 富永 剛

 皆様,こんにちは。帯広第一病院外科の富永 剛です。今回,突然の原稿依頼があり,なぜ私に?と一瞬思いましたが,せっかくの機会ですので,自己紹介をかねて近況を報告させて頂きます。
 私は東北大学医学部を昭和58年に卒業し,国立水戸病院での初期研修後に第一外科に入局しました。そして,昭和62年からの3年余り,第一外科の大学院から派遣され,当時の抗酸菌病研究所免疫学部門にお世話になりました。そのころの免疫学部門は,橘 武彦教授,奥田智子助教授,工藤俊雄助教授,出井敏雄先生,吉田菊喜先生,福岡良博先生らの,それぞれ個性のあるスタッフに,臨床から来る大学院生などが集い,厳しい中にも明るい雰囲気がありました。私の指導教官は,現在,医用細胞資源センター教授の工藤先生でした。当時先生は,医療短大助教授が公的には本業で,二足の草鞋で大変お忙しい生活でしたが,私のために親身の指導をしてくださいました。時には先生の大きな雷に打たれましたが,おかげさまで大学院を卒業することができました。私の後にも,多くの第一外科の医局員が工藤先生のもとで研究をまとめたことは,加齢研の先生方もよくご存じと思います。
 私が研究室で印象的だったことは,橘教授自らが実験をされていたことです。その学問に対する真摯な態度に驚きました。この姿を見て,アカデミックからは懸け離れた私は,やはり臨床医の道しかないと,はっきりと進路を見極めたのでした。そういう意味でも,私の抗研での生活は意義深いものでありました。その後,しばらく医局生活を送り,宮城県立がんセンターを経て,平成6年10月に,この地に来ることになりました。 私が暮らす帯広は,北に大雪山系,西に日高山脈,東南には広大な平原が太平洋に向かって広がるスケールの大きな十勝地方の中心にあります。十勝地方の面積は宮城県の1.4倍もあり,広大な平野は畑作に利用され,じゃがいも,ビート,豆などを生産し,北海道の中でも食糧基地とされています。帯広市は人口17万人,十勝地方唯一の市として支庁舎が置かれ,県庁所在地のような役割を果たしています。仙台からの標準的な行き方は,仙台空港から新千歳空港に飛び,そこからJRに乗り2時間程です。
 北海道と言うと,雪がとても多いとお思いかも知れませんが,これは札幌や旭川の話で,太平洋側の帯広は,冬型の気圧配置になると晴天が続きます。冬の日照時間は極めて長く,こちらでは「十勝晴れ」と呼んでいます。晴れる代わりに放射冷却現象が起きるので,厳冬期の冷え込みには強く,真冬日が年間60日ほどあります。1月から2月にかけての最低気温の平均値は,マイナス15度くらいですが,年に10日くらいマイナス20度を下回ります。東北地方でも使いますが,厳しく冷え込むことをこちらでは「しばれる」と言います。過去にはマイナス35度という記録もあるそうで,地元の人に言わせると,これでも最近は暖かくなったのだそうです。厳しい寒さは快晴無風が条件ですから,しばれたの日には必ず,すっきりした青空にきらきらと太陽が上り,気持ちの良い朝を迎えます。体感的には強い西風の吹く真冬の仙台より,むしろ楽にさえ思えます。が,しばらくすると顔や喉が痛くなり,寒さを実感するわけです。しばれた朝は,川の水温の方が気温より高いために,川面からもくもくと霧が上がります。流れに沿って伸びる川霧,河川敷の木々に見られる霧氷,そしてダイヤモンドダスト,それらに太陽の光が微妙に反射し,非常に幻想的な風景になります。街もしーんと静まり返り,ある種の神々しささえ感じます。厳冬期には何もかも,たちどころに凍ります。ビールはもちろん日本酒だって凍ります。帯広に赴任する前,あるえらい先生から,「しているそばから凍るので,立ち小便も後ずさりしながらしないと,大事なものまで凍り付いてしまうんだぞ。」と,脅かされましたが,これはさすがに嘘でした。でも,10分ほどで鼻毛の長い人は凍りつきます。冬期間,どの学校の校庭も水が撒かれ,スケートリンクとなります。帯広は道内でもスピードスケート王国と言われており,幼稚園からスピードスケートの靴を履かされて,小学校では記録会まであります。ちなみに,オリンピック金メダリストの清水宏保選手も帯広の出身です。外は寒いのですが,北海道の家は断熱材がしっかり入っており,冬でも極めて快適です。真冬でもTシャツでビールです。帯広は完全な車社会でどこに行くにもdoor to doorですから,生活面では「寒くてもつらくない」というのが実感です。厳しい寒さに曝されるのは,飲みに出て一次会から二次会に流れる時くらいでしょうか。足跡一つない広大な雪原,秀麗な日高山脈,大きな青空,そして「気持ちのいい寒さ」,私はそんな十勝の冬をこよなく愛しています。
 さて,私の働く帯広第一病院は,内科,外科を初め,全部で11科を標榜する303床の地域の中核病院です。帯広駅から歩いて5分,5年前に新築した6階建です。帯広近郊に2つの関連病院があり,グループ全体で540床の規模となっています。当院は仙台からは遠く離れていますが,東北大学との関係は長い歴史があります。現在も内科は第三内科から,外科は第一外科から,そして脳外科,麻酔科が東北大学から派遣されています。私の働く外科は私を含めて3名のスタッフ,そして1年から3年まで各学年に1名ずつの研修医がおり,全部で6名の布陣です。毎年春になると,高次修練の学生さんが実習に,そして夏休みには病院見学の学生さんが,仙台から当院を訪れます。ひどく羽目をはずす学生もおり,時には腹を立てるときもありますが,学生との交わりは,私にとって大きな楽しみです。さらに私が嬉しく思うことは,このような東北大の学生の中から,外科研修医がここ10年間毎年絶えることなく帯広に来てくれていることです。来年度から初期研修義務化が始まりますが,当院では近隣の施設と病院群を組んで管理型の研修指定病院の認定を取得する予定で,これからも若い人材を受け入れていきたいと思っています。
 ところで,2年ほど前のことですが,この十勝地区に東北大学同窓会が発足しました。現在会員は60名ほどを数えておりますが,帯広畜産大学絡みで農学部出身者が一番多く,医学部がそれに次ぐ勢力で当院中心に20名程です。最近の嬉しいニュースは,呼吸器腫瘍研究分野に在籍していた八重柏政宏君が加わったことです。彼は昨年,十勝川の河口にほど近い豊頃町茂岩というところで開業しました。開業直後に訪ねてみましたが,相変わらずの真っ赤な頬っぺで頑張っています。八重柏君は大学のサークルの二学年後輩で,学生時代から気心も知れているので,仕事の上でも頼もしい限りです。十勝地区での加齢研OBは,おそらく私たち二人だけですが,共に助け合っていきたいと思っています。
 脈絡もなく思いつくままに書きましたが,約束の字数を越えてしまったようです。冬の北海道が好きで,つい冬のことばかり書いてしまいました。さわやかな夏の北海道,そして私がはまっている大雪山や日高への登山に関してはふれませんでしたが,これは駄文よりも写真の方がいいでしょう。東北大学艮陵協議会のホームページ(http://www.gonryo.med.tohoku.ac.jp/gonryo/)をご覧下さい。トップページに私が撮った写真を載せてもらいました。大雪山の沼ノ原湿原から見たトムラウシ山(百名山の一つ)です。7月中旬というのに,まだたっぷりと雪を残り,息を飲む美しさです。今年もこの山の魅力に惹かれ,シェルパ(研修医や学生)を引き連れ,出かけることになるでしょう。こんな生活をしておりますが,近くにおいでの際にはぜひお寄り下さい。遠く十勝平野から,加齢研の益々の発展を祈念しております。

「分野紹介」 免疫遺伝子制御分野

免疫遺伝子制御分野の起源
 1993年に教授の佐竹正延が1人で京都大学ウイルス研究所から赴任して来たのが現在の免疫遺伝子制御分野の研究室のはじまりです。現在のスタッフは助教授の渡邊利雄が1996年に,助手の河府和義が2002年に赴任しました。

研究室の場所:
 加齢研の7階の西側に免疫遺伝子制御分野はあります。所長の帯刀教授のいらっしゃる分子発生分野の真向いになります。 担当する大学院は医学系研究科と生命科学研究科の2つになります。 積年のハトの糞の被害があまりに甚大なために,最近やっとの思いでベランダに緑のネットを張りました。

初めに:
 いくつかの分野とは共同研究などで頻繁な行き来があるものの,当研究室のメンバーの名前を研究所の他の研究室の方に覚えていただく機会は残念ながらなかなか有りません。初めて見る野に咲く花も,ひとたびその名前が分かると何となく身近に感じられると言います。そこでせっかくの機会ですので,この紙面をお借りして現在この研究所で研究を行っている免疫のメンバーの名前を書かせていただきます。実験に限らず,色々と所内の皆様のお世話になることが多いですが,尋ねて行きました際にはどうぞよろしくお願いいたします。( )内は名字の読みがなです。
教授:佐竹正延(さたけ),助教授:渡邊利雄(わたなべ),助手:河府和義(こうふ),秘書:久慈右親(くじ),ポスドク1名:田辺賢司(たなべ),大学院博士過程3名:山田成幸(やまだ),夏目和歌(なつめ),吉田尚美(よしだ),修士過程5名:内納隆治(うちの),尾形威明(おがた),昆俊亮(こん),中里愛美(なかざと),若生武(わこう)が研究に励んでいます。この他に研究の性質上他大学で研究を行っている大学院生が数名おります。
出身は多彩で,岩手,宮城,福島,東京,千葉,神奈川,兵庫,広島,愛媛,福岡と全国各地です。ちなみにスタッフは全員血液型がA型です。

研究活動:
 佐竹教授が単離した転写因子Runx1/AML1を切り口とした研究を行っています。Runx1/AML1は白血病関連遺伝子で,造血幹細胞の発生に必須で,T細胞の発生と分化に重要であることで良く知られています。またそのファミリー遺伝子は他にRunx2,Runx3と2つ有ります。Runx2は骨の形成のマスター遺伝子,Runx3は胃の形成と神経発生,さらにT細胞発生に重要な遺伝子であることが明らかになっています。
 転写因子Runx1/AML1の生物学的な機能を探るために,1) 転写因子の分子としての解析,2) これが関係する造血発生,T細胞発生と分化,血管新生といった生物現象の解析,3) さらに進化過程における変化をホヤをモデル系として解析しています。さらにこれらの解析から派生した分野として4) 細胞内小胞輸送系, 5) 精子形成過程, 6) 精巣腫瘍も研究の対象としています。
 最近はこれら個々の現象を掘り下げる研究に加えて,いわゆるゲノムプロジェクト的な包括的な研究からも解析を加えています。

これらの研究の主な成果は,1) Runx1/AML1が胸腺におけるT細胞の分化,増殖に必須であること,2) Runx1/AML1の転写因子としての機能が細胞骨格制御蛋白質により抑制的な制御を受けていること,3) 造血幹細胞は血管内皮細胞から発生することが知られていますが,この過程にRunx1が無くては成らないマスター遺伝子であること,4) 造血幹細胞が発生初期の血管網形成に積極的に関与していること,5) ホヤのゲノム配列が決定されたこと,6) 新規のGTPase活性化蛋白質が精子形成に必須であることなどが挙げられます。

このように研究対象(ヒト,マウス,ホヤ,培養細胞),研究内容,研究手法ともに多岐に渡るため定見も無く手当りしだいに研究を行っていると言う誤解を受けることが当然ながら多々有ります。
 しかし当人達は自分達が取った『独自の遺伝子』からスタートして『新しい,生物現象の理解』を目指している……はずだと言う基本方針は少しもぶれてはいない(どこぞの総理大臣のようですが)と楽観的に思い,日夜研究に励んでいます。我々のモットーは『楽しい研究,驚きのある研究を行おう』です。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
文責:わたなべ としお

「研究員会便り」 研究員会委員長 渡邊 利雄

 私の委員長職も2年目に入りました。これまでにいろいろと研究委員会の活動の活性化を図って参りましたが,結局のところ会員の皆様1人1人が研究委員会に期待することを実現できなければ無意味であると思います。
 研究員会を無視をするのではなく,肯定否定どんな意見でもよろしいですので委員を通じて,あるいは直接私委員長宛にお送り下さい。
 残りの任期もいろいろと試みを行いながら無事に勤め上げたいと思っておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。

発表コンテストと新年会
 冬の集談会では,前回に引き続いて研究員会会員を対象に発表コンテストを行いました。第2回の栄誉は遺伝子導入分野の修士過程2年生の矢島さんでした。おめでとうございます。内容,発表ともに多くの方の支持を取り付けました。今回は集談会後に研究員会主催で新年会をもうけ,会員が集談会での発表内容について話し合う場を持つことが出来ました。
 おおむね好評だったようで是非これからも続けて行きたいと思います。
 願わくは,新年会への参加者が皆集談会に参加していただけるともっと嬉しいです。
 また,このような形で新年会を開くにあたって,シンポジウム委員会の方々には集談会のパンフレットに研究員会主催の新年会が集談会に引き続いてあることを明記していただくなどお世話になりました。この場をおかりしてお礼を申し上げます。
 私見ですが,研究室間の交流がもっと盛んにならなければ,同じ研究所にいる特典が損なわれてしまいます。個人の努力が基になるのは当然ですが,研究委員会だけで無く,研究所研究会同窓会や教授会が一体となって交流し易い環境を整えるようにしなくてはならないと考えます。同時に,会員の方の奮起も期待いたします。

研究員会セミナー
 セミナーのお知らせは,加齢研のみならず医学部にも必ず回すようにしています。そのおかげか,大会議室が満席になるようなセミナーも見られるようです。
 一方でおざなりな広報しか行わない場合も依然見受けられます。
 今後も,セミナーのお知らせを確実に行い,またセミナーへの前口上を世話人に方に書いていただき,面白さやポイントが分かるようにして行くつもりです。
 主催を為さる方は,当日も含めてセミナーのお知らせを是非行って下さい。
 エレベーターの中に掲示するなど色々工夫の余地はあります。

「研究会同総会広報」 庶務幹事 福本 学

庶務報告

  1. 研究会同窓会会員の確認(平成15年5月現在)
     通常会員 821名
     (名誉会員65名,所外565名,所内191名)
     賛助会員 29施設
     購読会員 22名
     物故会員
      成富 鷹穂先生 平成14年10月26日
      豊島  信先生 平成14年11月20日
      金谷  皓先生 平成14年12月19日
      寺嶋 大地先生 平成15年1月16日
      山根  績先生 平成15年3月17日
  2. 加齢研ニュース38号発行
      平成14年12月
  3. 第119回集談会
     日時:平成15年1月24日(金)午後1時から
     場所:加齢医学研究所大会議室
     一般口演(7題)
     第10回加齢医学研究所研究奨励賞授与式・受賞記念講演
      浅井(氏家)あづさ(遺伝子導入研究分野)
  4. 第28回加齢医学研究所シンポジウム
     「血管が作られる仕組みを探る」
     日 時:平成15年2月19日(水)午後1時30分から午後6時
     場 所:東北大学加齢医学研究所大会議室
     世話人:佐藤 靖史教授

今後の予定

  1. 第120回集談会
     日時:平成15年6月28日(土)午後1時から
     場所:加齢医学研究所大会議室
     一般口演,新任教授特別講演
  2. 平成14年度加齢医学研究所研究会同窓会総会,講演会および懇親会
     日時:15年6月28日(土)集談会終了後
     場 所:総 会 加齢医学研究所大会議室午後4時から
     講演会 医学部臨床大講堂 午後5時から
     講師 山本 敏晴氏 懇親会 プロジェクト総合研究棟(旧加齢研病院)セミナー室 午後6時15分から
  3. 第29回加齢研シンポジウム 未定
  4. 加齢研ニュース発行
     39号 平成15年6月
     40号 平成15年12月